Canon/Bell&Howell製 Dial35の整備や修理の件です。

個人的にも好きな機種なのですが、
こと修理となりますと整備性が悪く群を抜いて難易度の高い機種です。

極力安価に35mmコンパクトとハーフの整備と修理をご提供させて頂いているつもりで、
機械式コンパクト殆どの機種を1万円程度の目標で写真を楽しめるように整備させて頂いてます。
しかし大変恐縮ですが、
ことDial35に関しましてはその整備に至るまでの付帯工事にあたる手間隙はかなりのもので、
機構上のことも手伝い他の機種とは一線を引いてしまいます。

例えばシャッターや絞りの修理をしようと、そこにたどり着くにもオーバーホールの時と大差ないほど
バラバラに分解しないと辿りつけません。
また開くと必ずある程度の遮光用モルトを交換する必要がありこれが通常のカメラの5倍程度必要です。
モルトは大丈夫ですと言われる方も多数いらっしゃいますが、表面から見える部分ではなく内部に
大量のモルトが使われているのです。
開いていく間にモルトを撤去しなければ修理(整備)は殆ど何も出来ない作りなんです。
今では考えられませんが良くも悪くも遮光をモルトに頼っていた時代背景と、メーカーさんのきっちりした
仕事の成果です。

裏蓋を開いてモルトが傷んでいれば、内部は同等もしくはそれ以上に傷み、絞り等の機構へ影響を
与えている可能性は大です。(粉や粘りで動きを阻害しているという意味です)
ですから、安価で早い修理や整備は申し訳ありませんが出来ないのです。

お値段も掛かりますし、お時間も頂きます。
前は部分修理もお受けしていたのですが、
メールでお尋ね頂いた方のほぼ90%の方が『巻き上げ不調(不良)』をあげられます。
そして届いたDial全てが巻上に不具合を抱えていました。

又これも高確率で『絞りの不調』を伺います。
機構上なりやすく、経年変化がそうしてしまうのです。

この二点が部分修理をご容赦願うようになりました理由です。
どんな形でお受けしても、結局ほぼ、オーバーホール的な整備が必要でした。

一例を申しますと殆どの固体が巻上げ用のギアが大なり小なりで全ての固体が傷んでおります。
ベベルギア方式に対し、
使われている材質が柔らかい為、使用に応じて磨耗し、クリアランスが膨らめば変形します。
手動なら止められることもゼンマイで情け容赦なく回転させられますのでいやおう無しに傷みは
波及していきますし、時間とともに整備をしなければ必ず発生します。
原因が何処にあろうとある部分に緩みが出れば終わりです。
使っていくうちにガタが出たり異音がしたり動きがぎこちないのはそのせいですので、
ここはオーダーがなくてもある程度は必ず触って修正させて頂いてました。

このように作業工程が多い為時間がかなり掛かります。
ダイアルに掛かると他の機種が出来なくなり整備者のリスクとなりとても厳しいのが実際のところで、
舶来のカメラを整備する方が楽です。


Canon製のDial35に限り基本整備代金は、19,000円とさせて頂いております


たとえ修理を含んでもスムーズな作業であればこの代金のみで御編曲返却させて頂きますが、
個体差により若干差異がありますし、Bell&Howellは若干、1,000円程度高額になります。
OEMとありますが実際まったく同じではなく色々ありますので、ご理解下さい。

最期になりますがどの機種もこの頃はオリジナル性が高く部品の互換性は殆どないのですが、
それでもPenやAutoHalf等のようにシリーズが存在するものは流通も多く部品が必要な時でも
探せる事が多い中、本機はその点も難易度が極端に高いため必要になった交換部品の部位や
状況によりましては修理を断念せざるを得ない場合もあることを申し上げておきます。


可動、不動にかかわらずDial35はその特異性からとても貴重です。

たとえオブジェとされる事を選ばれましても大切になさって下さい。

出来ましたら何処かのショップで可動品にされることをお祈りして説明を終わらせて頂きます。
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Dial35 の修理

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